本日、AMDは7nmプロセスZen 2のモバイルRyzen 4000「Renoir」シリーズをリリースしました。
今回のモバイルRyzen 4000シリーズは、Ryzen 9 4900Hを筆頭に、ついにIntelのゲーミングノートパソコン向けCPUよりも高い性能と、優れたコストパフォーマンスを実現することができたようです。
AMD Ryzen 4000ファミリー ラインナップ
AMD第3世代Ryzen 4000Hシリーズは、ノートPC市場において最初の7nmプロセスCPUとなり、4月2日リリースとなるIntelの第10世代Comet Lake-HモバイルCPUシリーズよりも高い性能を実現することを目標にしています。
(実際どちらの性能が高いのか、ワットパフォーマンスやコストパフォーマンスはどうなのかは、ふたを開けてみないと分かりませんが。)
Ryzen 4000ファミリーは、大きくHシリーズとUシリーズで構成されています。
HシリーズはTDP 45Wで高性能ノートブックを対象としていますが、それを省電力化したTDP 35Wの「HS」モデルもあります。
メモリ・RAMに関しては、Ryzen 4000H / HSシリーズはDDR4-3200 MHzとLPDDR4-4266 MHzの両方に対応しています。
以下にラインナップ表を載せておきます。
詳しい内容は以前執筆したこちらの記事にもございますので是非ご覧ください。
ラインナップ | コア / スレッド | ベース / ブースト 周波数 | GPU コア数 | GPU 周波数 | 単精度 GPU性能 | TDP |
---|---|---|---|---|---|---|
AMD Ryzen 9 4900H | 8C / 16T | 3.3 / 4.4 GHz | 8 | 1.75 GHz | 1.79 TFLOPS | 45W |
AMD Ryzen 9 4900HS | 8C / 16T | 3.0 / 4.3 GHz | 8 | 1.75 GHz | 1.79 TFLOPS | 35W |
AMD Ryzen 7 4800U | 8C / 16T | 1.8 / 4.2 GHz | 8 | 1.75 GHz | 1.79 TFLOPS | 15W |
AMD Ryzen 7 4800H | 8C / 16T | 2.9 / 4.2 GHz | 7 | 1.6 GHz | 1.43 TFLOPS | 45W |
AMD Ryzen 7 4800HS | 8C / 16T | 2.9 / 4.2 GHz | 7 | 1.6 GHz | 1.43 TFLOPS | 35W |
AMD Ryzen 7 4700U | 8C / 8T | 2.0 / 4.1 GHz | 7 | 1.6 GHz | 1.43 TFLOPS | 15W |
AMD Ryzen 5 4600H | 8C / 12T | 3.0 / 4.2 GHz | 6 | 1.5 GHz | 1.15 TFLOPS | 45W |
AMD Ryzen 5 4600HS | 6C / 12T | 3.0 / 4.2 GHz | 6 | 1.5 GHz | 1.15 TFLOPS | 35W |
AMD Ryzen 5 4600U | 6C / 12T | 2.1 / 4.0 GHz | 6 | 1.5 GHz | 1.15 TFLOPS | 15W |
AMD Ryzen 5 4500U | 6C / 6T | 2.3 / 4.0 GHz | 6 | 1.5 GHz | 1.15 TFLOPS | 15W |
AMD Ryzen 3 4300U | 4C / 4T | 2.7 / 3.7 GHz | 5 | 1.5 GHz | 0.96 TFLOPS | 15W |
Ryzen 9 4900H / HS について
フラグシップモデルであるRyzen 9 4900Hは、8コア16スレッドで12MBキャッシュを備え、ベースクロック3.30GHz・ブーストクロック4.40GHzでTDP 45Wとなっています。
Ryzen 9 4900HSは、TDP 35Wでベース3.0GHz・ブースト4.30GHzになりますが、どちらも8基のCU(512SM)を有し1750MHzで駆動する7nmプロセスのVega GPUが搭載されています。
このVega GPUが約1.8TFLOPSもの演算性能を示し、PS4と同レベルの性能であることは驚きです。
Ryzen 9 4900Hの性能は現状のノートPC・ゲーミングノート向けCPUの中ではシングルスレッド性能・マルチスレッド性能のどちらもトップレベルであり、筆者としても「マジか」という感じです。
以下はGordon氏が行ったCinebench R20のベンチマークスコア比較グラフの一部抜粋となります。
Ryzen 9 4900HはIntel Core i9-10980HKとCore i9-10880Hの対抗馬となるCPUで、シングルスレッド性能ではIntelが上回ってくる可能性はありますが、マルチスレッド性能やワットパフォーマンス、コストパフォーマンスではAMDに軍配が上がる可能性がかなり大きいと思います。
Ryzen 7 4800H / HS について
AMD Ryzen 7 4800H / HSは2番目にハイエンドのモデルで、4900H/HSと同様に8コア16スレッドで12MBのキャッシュを備えていますが、クロックはベース2.9GHz・ブースト4.2GHzというスペックに収まっています。
GPUは7CUで1600MHzのVegaが搭載されています。
対抗馬となるIntel製品はCore i7-10875HとCore i7-10750Hあたりになるはずです。
PassMarkのベンチマークスコアでは、Ryzen 7 4800H現時点で最強のノート向けCPUとなっています。
ただしこのスコアランキングにはRyzen 9 4900Hがまだ反映されていません。
4900HのPassMarkスコアは20,000に達すると予想されており、もしそうなった場合はAMDの快挙となるでしょうね。
Ryzen 5 4600H / HS について
Hシリーズの最下位モデルとしてはRyzen 5 4600H / HSがあり、6コア12スレッドで11MBキャッシュを備え、ベース3.0 GHz・ブースト4.0GHzで駆動します。
グラフィックスは、6基のCU(384SM)で1500MHzの7nm Vegaとなっており、Intelの対抗馬としてはCore i5-10550HやCore i5-10500Hあたりになってくるでしょう。
ライバルとなるIntelは第10世代Comet Lake-H モバイルCPUをあと数日でリリースする予定ですが、AMDのモバイルRyzen 4000シリーズは、高性能で低消費電力、高コスパ、高い供給性となっているので、各ノートPCメーカーはかなりの歓迎ムードでRyzen搭載ノートPCを次々と発表しており、モバイルCPU市場においてもAMDの猛攻勢によりIntelは激しい競争を強いられることになりそうですね。
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コメント
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