先日、Intel第10世代Comet Lake-Sの10コアCPU、Core i9-10900Fのベンチマークがリークされましたが、マルチコア性能に関してはAMDのモバイル向け8コアCPU、Ryzen 9 4900HSよりも下回る可能性があることが判明してしまいました。
腑に落ちない部分もあり、その点は最後で少し触れています。
AMDのCPU等と比較しながら見ていきましょう。
Intel Core i9-10900Fスペック:TDP 65W(大嘘)
Core i9-10900Fは14nmプロセスの10コア20スレッドCPUであり、ベースクロックは2.80 GHz、ブーストクロックはシングルコアで最大5.2GHz(Thermal Velocity Boost)、全コアで最大4.6 GHz(TVB)、キャッシュは20MB搭載し、TDPは65Wとなっています。
基本的にはCore i9-10900と同じですが、「F」付き製品は内部GPUが無効化されておりグラボ必須のCPUです。
65WというTDPはベースクロックから算出されたもの(PL1)で、ブーストを効かせる場合のTDP(PL2)はもちろんPL1よりも高くなります。
このCore i9-10900Fの場合、実際のPL1の最大電力リミットは170W、PL2の電力リミットは224Wとなっており、実際の消費電力はIntel公称TDP値の3倍以上になっていることが分かりますね。
最大224Wの10コアi9-10900Fは、120Wの8コアRyzen 7 3800Xにマルチ性能で勝てない
さて、本題のIntel Core i9-10900Fベンチマークスコアは、@momomo_us氏のツイートに載っているGeekbenchデータベースからリーク。
ベンチマーク結果を見ると、Intel Core i9-10900Fはシングルコアで5,747、マルチコアで29,363というスコアになっています。
「K」付きのアンロックCPUよりは控えめな消費電力に抑えられているので妥当に見えるかもしれませんが、AMDのRyzen 7 3800Xは同ベンチマーク(マルチコア)でおおよそ30,000~35,000、Ryzen 9 3900Xはおおよそ40,000〜45,000のスコアになっています。
Ryzen 7 3800XはXFRなどのブーストが効いたときにおおむね120W前後の消費電力になりますが、200W超えのCore i9-10900Fよりもマルチスコアが高いということになります。
(ただし、シングルコア性能に関してはまだIntelが若干高いのは留意点です。)
もはや現状のIntel CPUはAMDに電力効率では到底かなわないということですね。
(プロセス微細度で負けてるし仕方ないね。)
Intelデスクトップ10コア vs. AMDモバイル8コア
Ryzen 9 4900HSはAMD最新のモバイル向け8コア16スレッドCPU(APU)で、Ryzen 9 4900HをダウンクロックしTDPを10W省電力化したモデルになっており、TDP35Wでありながらベースクロックは3.0GHz、ブーストクロックは4.3GHzであり、12MBのキャッシュ、1750MHz動作の7nm Vega GPUを有しています。
AMD Ryzen 9 4900HSを搭載したASUSのゲーミングノートPC ROG Zephyrus G14は、Geekbench 4でシングルコア5,286、マルチコア30,339のスコア(2020年4月15日現在のベストスコア)を獲得しています。
さて、Intel Core i9-10900FとAMD Ryzen 9 4900HSのスコアを比較してみます。
Geekbench 4 シングルコアスコア:
- AMD Ryzen 9 4900HS 8コア(35W TDP / 平均50W ~ 60W): 5,286
- Intel Core i9-10900F 10コア(65W TDP / PL1 170W ~ PL2 224W):5747
Geekbench 4 マルチコアスコア:
- AMD Ryzen 9 4900HS 8コア(35W TDP / 平均50W ~ 60W):30339
- Intel Core i9-10900F 10コア(65W TDP / PL1 170W ~ PL2 224W):29,363
Intel Core i9-10900Fは200W以上の電力を消費する一方で、AMD Ryzen 9 4900HSはわずか55W ~ 65Wでこのスコアを記録しています。
AMD Ryzen 9 4900HSはCore i9-10900Fよりも2コア4スレッド少なく、ベース/ブーストクロックが低く、キャッシュサイズが小さく、消費電力もかなり低いモバイル向けCPUですが、Intelのデスクトップ向け10コアCPUとほぼ同等のマルチスレッド性能を持っていることが、今回のスコア比較から予想できます。
4900HSよりもクロックが高いRyzen 9 4900Hに関しては、それよりももう少し高い性能になることは明らかですね。(消費電力も若干増えますが。)
注意!:今回の10900Fのスコアは低めに出ている説
今回のCore i9-10900Fのベンチマークスコアリークに関して色々述べてきましたが、筆者個人的に気になっていることがあります。
Intelの前世代8コアCore i9-9900KSのマルチコアスコアは平均で約35,000、モバイル向けの8コアCore i9-10980HKのマルチコアスコアは約32,000であるのに対して、最新の10コアCore i9-10900Kがマルチコアスコア30,000に届かないというのは腑に落ちません。
今回のベンチマークスコアの信憑性に関しては議論の余地があると思いますし、10900Fの実際の性能はもう少し伸びるのではないかと筆者個人的には思っています。
Core i9-10900Fが実際にはどのようなポジションに落ち着くのかは発売してみないと分かりません。
発売日と言われている5月27日まであと1ヶ月半、気長に待つことにしましょう。
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