【Xbox Series Xの性能を解説】CPU、GPU、メモリ、ストレージについて【ゲーミングPCとの比較】

CPU
Image Credit : Microsoft
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昨日、MicrosoftがXbox Series Xの仕様を公式に発表しました。
Xbox Series Xのスペックは驚くべきもので、ゲーミングPC勢としても無下にできないほど「ヤバい」スペックなので、もう少しスペックや機能について掘り下げたいと思います。

一方で、日本時間3月19日の午前1時にSonyからPlayStation 5の公式情報が出るという話もあり、それもかなり気になる状況ではありますが、今はいったんXboxのスペックを整理しましょう。

CPUについて

Xbox Series Xは8コア16スレッドCPUを有し、最大クロックは8スレッド動作時3.8 GHz、16スレッド動作時3.66GHzだが、PCのようなフレキシブルで可変的な動作はしない。

Xbox Series XがAMD Zen 2プロセッサーとRDNA 2グラフィックスを搭載することはしばらく前からわかってはいましたが、今回ついにその詳細の一端が明らかになりました。

Xbox Series Xには、最大クロック3.8 GHzの8コア16スレッドプロセッサが搭載されますが、PC向けCPUのようには動作しません。
PC向けCPUのように高パフォーマンスが要求されかつ冷却可能な場合にコアクロックを自動的にブーストするのではなく、Xbox用CPUは開発者が事前にCPUの使用方法を選び、その選択したクロック速度を維持するという特徴を持っています。

開発者は8コア8スレッドモードか、SMTを有効にした16スレッドモードからCPUの動作を選ぶことができ、クロック速度はモードによって変化します。
SMT無効時はクロック速度が3.8GHzまで上がりシングルコアの性能を高めることができますが、SMT有効時は最大3.66GHzになります。 
(SMT:Simultaneous multithreading、同時マルチスレッド。Intelでいうハイパースレッディング。)

現状の大抵のゲームはシングルスレッド性能を高めることでパフォーマンスが上がるように作られており、そういうゲームでは8コア8スレッド動作でクロックを上げて対応します。
そして、マルチスレッド性能を優先するゲームも今後増えていくはずなので、そのようなゲームに対してはSMTを有効にし、マルチスレッド性能を上げて対応します。

Xbox Series Xはこのような幅広い対応を可能にしたゲームハードなので、ゲーム開発会社としても開発しやすくなっているのではないでしょうか。 

Xbox Series X 内部構造 (Image Credit : Microsoft)

GPUとメモリについて

Xbox Series XのカスタムRDNA 2 GPUは、52基の演算ユニット内に3,328基のストリームプロセッサを有し、1,825MHzのクロックで動作して12TFLOPSの演算能力を持つ。

Xbox Series Xは、52基のCU上に分散した3,328基のSPを備えたカスタムRDNA 2 GPUを採用。
(CU:Computing Unit、演算器、NVIDIAでいうSM, Streaming Multiprocessor / SP:Stream Processor、演算器の最小単位で、NVIDIAでいうCUDAコア)

今現在AMDのフラグシップGPUであるRadeon RX 5700 XTのCUが40基でSPが2,560基なので、XboxのGPUは5700 XTより24%多くのストリームプロセッサを搭載しており、パフォーマンスの大幅向上が期待できます

GPUの性能にはメモリも関わってきます。
Xbox Series Xには14Gbps GDDR6が16GB搭載され、CPUとGPUで共有のメモリとなります。
ゲーム機おなじみの共有メモリとはいえ、XboxのOSは1コアのCPU使用に制限されており、システム自体がRAMをあまり食わないので、問題はあまりないと言われています。
これはゲーム専用機特有の特徴と言えるでしょうね。 

またメモリに関しては、Xbox Series Xは全体的な効率を向上させるために、560GB/sの10GBメモリと336GB/sの6GBメモリを組み合わせて16GBとしています。

さらに今回のXboxは、PCIe Gen 4.0の大帯域幅を活用して必要な時にシステムメモリを拡張できるようになっています。
この機能によって大容量の高解像度テクスチャを扱えるようになる可能性があり、8Kゲームへの足掛かりになるのではと推測されています。

ストレージについて

標準で搭載される1TB NVMe SSDは、PCGamesNによればPCIe 4.0 x2レーンを使用し、最大2.5GB/sで動作するように見えるとのこと。

圧縮データを転送し、専用に開発された高速ハードウェア解凍ブロックを活用することにより、実行性能は6GB/sになると言われています。

6GB/sのデータ転送速度はかなり高速なので、理論上はCPUやGPUに対するボトルネックになることはなさそうです。
この独自の機構は、Xbox Series X向けに開発された「Velocity Architecture」の一部でもあります。

Xbox Series X エアフロー (Image Credit : Microsoft)

ついにネイティブ4Kゲームプレイが実現か

Xbox One XやPS4 Proは4K解像度でのゲームプレイを謳って販売されてきましたが、あくまでもアップスケールで疑似的に4K表示を可能にしていただけであって、ネイティブ4Kのゲームを処理する性能はありませんでした

アップスケール4Kは大抵の場合は問題なく4Kのように見えはしますが、ネイティブ4Kのレンダリングとは全然違うクオリティになります。
ただし、ネイティブ4Kのレンダリングは非常に高負荷であり、Nvidia GeForce RTX 2080などの10万円前後レベルのグラフィックスがなければ4K解像度で60fpsを出すことは難しいでしょう。

「単精度で」12TFLOPSという数字が真実なら、今回のXbox Series XはRTX 2080よりも強力なGPUを搭載することになり、価格もゲーミングPCと比べると安くなるはずなので、やっと4Kゲームが一般家庭にも普及し始めるかもしれません。 

また、4K解像度を必要としない場合は、(おそらく)Full HD・1080pを最大120fpsで出力できるとのことなので、FPSなどの高フレームレートでプレイしたいゲームもかなり楽しくなりそうですね。

ハードウェアアクセラレーションレイトレーシング

今までの情報でも、Xbox Series Xがハードウェアアクセラレーションレイトレーシングに対応することが分かっていましたが、今回は具体的な数値も公表されました。

Xbox Series Xのハードウェアアクセラレーションは、レイトレース処理に対して25 TFLOPのパフォーマンスを活かせるようです。
この数字に関しては、NVIDIAとAMDで全く異なる方法でパフォーマンスの測定を行っているので、Nvidia GeForce RTX 2080 Ti等との性能比較が難しく、正直ふたを開けてみないと分かりません

AMDのレイトレーシング性能がNVIDIAに匹敵するかどうかはまだわかりませんが、家庭用ゲーム機でレイトレーシングが可能になることによって、レイトレーシング対応ゲームは増加してくるのではないでしょうか。
現状でレイトレーシングを採用しているゲームはかなり少ないため、Xbox Series X(とPlayStation 5)の登場によって増えていってくれると面白いですね。 

レイトレーシング適用マインクラフト (Image Credit : Microsoft, Nvidia)

NVIDIAのDLSS相当の技術も追及

AMDとMicrosoftは、RDNA 2とXbox Series XでNvidiaのDLSSテクノロジーをターゲットにして技術開発を行っている模様。
(DLSS:Deep Learning Super Sampling、Turing GPUのTensorコアを使い、AIで画像をアップスケールするNVIDIAの技術)

NVIDIAのRTX GPUはTensorコアでDLSSを実行しますが、AMDはGPUのRawスループットを活用し、8bitや4bitの整数演算を介して機械学習処理を実行します。

グラフィック処理で通常使用される32bit演算よりもかなり低精度なため、低負荷高効率のアップスケーリングが可能になると推測されています。 

MONSTER HUNTER WORLDでのDLSS (Image Credit : wolfgang)

ゲーミングPCはどうなってしまうんだ

Xbox Series Xのスペックはかなり魅力的ですが、一方でこれは相対的にゲーミングPCのコストパフォーマンスを大幅に落とす「事件」と言っても良いのではないでしょうか。
Xbox Series Xは、現状の最上位のハイエンドゲーミングPCを上回る性能ではなさそうですが、それでもかなり肉迫してきているのは確かです。

もしゲーミングPCとしてXboxを上回っていたい場合は、最低でも8コア16スレッドのCPU(Ryzen 3700Xあたりかなぁ)とNvidia RTX 2080 SUPER等のグラフィックボード、1TB以上のNVMe SSDなど、高価なPCパーツを備えたPCを用意しなければなりません。。。

このような高コストなパーツでPCを組んだ場合、25万円~30万円程度の値段になってしまうのではないでしょうか。(中古パーツやジャンクは度外視しています。)

Xbox Series Xが現状のハイエンドゲーミングPCレベルの性能で、かつ安価になるであろうことを考えると、汎用PCとしてではなく「ゲーム機」としてゲーミングPCが欲しい方に対してはXboxを勧めざるを得ないという状況です。 

pontas gaming hand maid PC
筆者ぽんたすのゲーミングPC、総額約35万円。

正直言うと初めはXbox(やもしかしたらPS5)がここまでのスペックになるとは思っていませんでした。
妄想も多分に含まれていますが、今後はゲームと言えばコンソール機になり、PC版のゲームが過疎状態になってしまうと悲しいですね。
とはいえ、PCパーツは毎年毎年性能が向上していきますから、やはり「ハイクオリティゲーミングといえばゲーミングPC」という流れは変わらないのかもしれません。


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