AMDのZen 2 Ryzen 4000G Renoir デスクトップAPUであるRyzen 7 PRO 4700G、Ryzen 5 PRO 4400G、Ryzen 3 PRO 4200Gの3DMark Fire Strikeベンチマークスコアが@TUM_APISAK氏や@_rogame氏によって発掘、リークされました。
比較しやすいようにスコアを表にまとめましたので、ぜひご覧くださいませ。
Ryzen 4000GデスクトップAPUシリーズとは
AMDの「Renoir」Ryzen 4000Gシリーズは、iGPU無しのCPUとコアスレッド数が揃えられており、前世代からすべてのモデルでコアまたはスレッド数が増加しています。
Ryzen 4000デスクトップCPUシリーズと並びますが、Ryzen 4000GデスクトップAPUのアーキテクチャはZen 3ではなくZen 2であることにはご注意ください。
ハイエンドのRyzen 7 4700Gは8コア16スレッドとなり、ミッドレンジのRyzen 5 4400Gは6コア12スレッド、ローレンジのRyzen 3 4200Gは4コア8スレッドとなっています。
CPUコアの増加とは裏腹に、内蔵のVega GPUのコア数は減少しています。
現状の情報では、Ryzen 7 4700Gは8CUで2100MHz動作、Ryzen 5 4400Gは7CUで1900MHz動作、Ryzen 3 4200Gは6CUで1700MHz動作と言われています。
Vega自体は14nmから7nmへと製造プロセスの微細化が進んでおり、よりクロックが上げられるようになったため、Vegaのコア数が減少してもグラフィックスの性能は上がると予想されています。
しかし、どうも今回のベンチマークスコアを鑑みるとRyzen 7 4700Gのグラフィックス性能は前世代Ryzen 5 3400Gと同等か、若干劣る可能性が浮上してしまいました。
Ryzen 4000 APU 対 Ryzen 3000 APU スコア比較
ベンチマークスコアが発見されたモデルは「PRO」バージョンですが、基本的にAMDは「PRO」とそうでない通常モデルとで性能は変わらないはずなので、Ryzen 4000Gシリーズのパフォーマンスを今回のスコアから比較することができます。
ベンチマークは3DMark Fire Strikeで行われており、CPUパフォーマンスの指標となるPhysics Score、グラフィックス性能の指標となるGraphics Score、両方のバランスが重要となるCombined Scoreの値を抽出し、表にしました。
各スコアの最大値は赤文字にしてあります。
CPU | コア / スレッド | ベース ブースト | iGPU | TDP | Fire Strike Physics Score | Fire Strike Graphics Score | Fire Strike Combined Score |
---|---|---|---|---|---|---|---|
Ryzen 7 (PRO) 4700G | 8 / 16 | 3.6GHz 4.4GHz | 7nm Vega 8 CU 2100MHz | 65W | 23,392 | 4,301 | 1,336 |
Ryzen 9 4900HS(参考) | 8 / 16 | 3.0GHz 4.3GHz | 7nm Vega 8 CU 1750MHz | 35W | 21,289 | 4,084 | 1,247 |
Ryzen 5 (PRO) 4400G | 6 / 12 | 3.7GHz 4.3GHz | 7nm Vega 7 CU 1900MHz | 65W | 19,113 | 4,033 | 1,276 |
Ryzen 5 3400G | 4 / 8 | 3.7GHz 4.2GHz | 14nm Vega 11 CU 1400MHz | 65W | 12,233 | 4,353 | 1,359 |
Ryzen 3 (PRO) 4200G | 4 / 8 | 3.8GHz 4.1GHz | 7nm Vega 6 CU 1700MHz | 65W | 13,712 | 3,576 | 1,155 |
Ryzen 3 3200G | 4 / 4 | 3.6GHz 4.0GHz | 14nm Vega 8 CU 1250MHz | 65W | 8,674 | 3,911 | 1,239 |
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Ryzen 7 4700G vs. Ryzen 5 3400G
気になるRyzen 7 4700Gの性能ですが、コアスレッド数がRyzen 5 3400Gと比べて2倍に増加したため、Fire Strikeの物理スコアも順当にほぼ2倍の上昇となっています。
問題はグラフィックススコアの方であり、Ryzen 7 4700Gの8CU@2100MHzによるスコアは、Ryzen 5 3400Gの11CU@1400MHzによるスコアよりも1%程度低く、若干劣るという結果になっています。
Vegaの製造プロセスが7nmに微細化したことにより低消費電力でクロックを上げられるようになったため、演算ユニット(CU)数を落とす代わりに高いクロックで前世代のグラフィックスを上回る算段だと思われていたのですが、現状の性能はほぼトントンということになっていますね。
複合スコアを見ていただいてもお分かりだと思いますが、4700Gよりも3400Gの方がスコアが若干高く、Ryzen 7 4700GはCPU性能の上昇に対してグラフィックス性能の上昇が付いていけていないと考察できるのではないでしょうか。
Ryzen 7 4700Gの立ち位置としては、AMDの8コアCPUを使って作業や仕事をしたいがグラフィックボードは必要ないという方向けのAPUということになるのではないでしょうか。
最初から別途グラフィックボードを用意してPCゲームやクリエイティブタスクを行いたい方は、8コア16スレッドでPCIeレーン数もしっかり持っているRyzen 7 3700X / 3800Xや、Ryzen 7 4700X(仮)を素直に選びましょうということですね。(まぁ当たり前の話ですかね。)
Ryzen 5 4400GやRyzen 3 4200Gもグラボ不要タスク向けのAPUか
スコアをご覧いただければお分かりかと思いますが、Ryzen 5 4400GやRyzen 3 4200Gのグラフィックススコアも、それぞれの前世代であるRyzen 5 3400GやRyzen 3 3200Gのグラフィックススコアより低い結果となっています。
AMDが今後の7nm Vega GPUのクロック調整によってRyzen 4000Gシリーズのグラフィックス性能は軒並み底上げされる可能性はなくはありませんが、このままリリースされる場合は、Ryzen 4000Gシリーズは総じて「ゲームなどのグラボが必要なタスクは全く行わないが、AMD Zen 2の高効率CPUを使ってみたい」というライト層や事務作業向けのAPUとなると筆者は予想しています。
「最近噂のRyzenを使ってみたいけど、グラボは必要ない。Ryzenは内蔵グラフィックスがないからIntelを選ぶしかない」というニーズの取りこぼしを防ぐために用意されるラインナップになると個人的には思います。
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